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第756回 田中和夫『北海道鉄道なんでも事典』

今日、3月4日からJRグループの各社でダイヤ改正が行われる。JR北海道関係では、札幌から稚内・網走各間の特急列車は、これまで全列車直通だったのが、半数以上が旭川で乗り換えになるほか、このダイヤ改正に伴い、昨日をもってJR北海道の10駅が極端に利用者が少ないことを理由に廃止となった。廃止となったのは、美々駅、島ノ下駅、稲士別駅、上厚内駅、五十石駅、東山駅姫川駅桂川駅北豊津駅、蕨岱駅の各駅である。私は昨年9月から今年1月までに、この全10駅を訪問した(うち2駅は2度訪問)。半数以上の駅は周辺に住宅がいくつもある集落に設置されているので、誰か利用する人がいるのではないかと思うが、「極端に利用が少ない」というのだから致し方ない。いくら公共交通機関とはいえ、民間事業者が経営している以上、収支が成り立たなければ、経営合理化するのはやむを得ないと思う。もちろん個人的には寂しいけれど、廃止となった駅に乗降していた多くの者は、フリー切符で旅行している鉄道ファンで、直接的には収入に貢献しないのが現実でもあるのだから。昨年春のダイヤ改正で\xA4

\xE28駅が廃止され、普通列車の運行も大幅に削減されたため、ローカル線が利用しづらくなった。北海道新幹線開業の影で、在来線に大きな皺寄せがきているにちがいない。経営的なからくりはわからないが、昨年は日高線に加え、石勝線、根室線石北線でも自然災害に伴い、長期にわたる運休(根室線の一部区間は運転再開の目処がたっていない…というかバス転換の話も出ている)が発生したこともあり、在来線の設備の保守や修繕、車両の修繕や更新などの経費が疎かにされてはいないのか懸念しているところである。今後、人口減少は必然であることを踏まえ、過疎地域の公共交通手段として列車が望ましいのか、一人一人が長期的な視野で考えていかなければいけないだろう。

前置きがかなり長くなったが、今回取り上げるのは、題名でも想像できるとおり、北海道の鉄道に関して、車両、鉄道設備、路線、歴史、その他の鉄道にまつわる雑学などが網羅されている。本書の発行が2013年であるため、JR北海道の経営合理化による一連の施策(普通列車減便、駅廃止、留萌線一部廃止など)については触れられていないが、これを読めば、北海道の鉄道に関する基礎的な知識を学ぶことができるだろう。写真が大変多く掲載されていたり、索引もあるので、興味があるところを「つまみ読み」して楽しむこともできる。「第4部 鉄道の歴史」では「旅客輸送が中心の本州の鉄道会社に比べ、北海道の鉄道は石炭輸送が中心の特殊な鉄道会社だった。だが北海道開拓に与えた影響は各部門にわたって大きく、そして幅広い。特に鉄道沿線の人口増加はその最たるものだった」、「北海道の鉄道の多くは、石炭輸送を第一目的として計画された鉄道であったから、石炭の景気、不景気は直ちに鉄道の命運につながるものだった」という記述があるが、最大の目的だった石炭輸送の需要が低下した段階で、既に北海道の鉄道は、札幌都市圏を除き、旅客\xCD

∩漚之弍弔ⅻ丨衫¤弔箸倭枋蠅気譴討い覆ǂ辰燭箸いΔ里❶\xA2JR北海道の本音なのかもしれない。北海道開拓の重要な手段として全道各地に鉄道は張り巡らされたが、北海道開拓が(ある程度)達成され、鉄道の目的が旅客と貨物の輸送に限られている今、鉄道路線存廃の議論が大きくなっているのは当然といえる。低い人口密度、道路整備に伴う自動車移動の普及、冬季の保線に伴う負担の重さ、鉄道によって「まち」が形成されてきた歴史など、北海道特有の風土も絡めて、今後における北海道の鉄道の維持を考えていった場合、本州からの人口流入など大きな時代変革が起きない限り、相当困難だろうと思わないわけにはいかない。ヒトやモノを輸送する手段として鉄道があり、その他の輸送手段(バス、タクシー、自動車など)に比べ、鉄道があることにより、どの面でメリットがあるのかを検証した上で、国や北海道、沿線自治体の財政負担の可否を考慮しながら、鉄道路線の存廃を議論してほしいと願う。