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草原の河(ソンタルジャ監督)@神保町・岩波ホール

 チベット映画は昔からあったはずだが、チベット人監督の映画は今回が日本公開初めてだと言う。当然、チベットや新疆ウイグル地区などは中国の厳しい言論統制下にあり、映画などのメッセージ発信も難しい中で、日本公開は貴重な機会である。岩波ホールは年齢層が高いのでむしろ午前中の方が混むのだが、午後の用事を考えて朝一で。

 アジア版アルプスの少女ハイジ。ひたすら広い高原にテントを張って羊の遊牧の生活を営む家族の物語。ものすごい広い土地に、バイクでどこまで行っても簡単には街に出られない。スクリーン上はただただその美しさに圧倒されるが、その生活は過酷なものであろうことは想像に固くない。

 小さい娘の友だちは子羊と熊のぬいぐるみ。いじめっ子の男の子がいるが、学校の友だちか?

 風景や生活は我々先進国人と全く違っていて新鮮な一方(去年観たグルジア映画や、更に以前に観たキルギス映画、イラン映画など、アジア小国、少数民族の作品にはある程度共通しているが)、家族の姿は我々と変わらず、人類共通の普遍性を訴える。その普遍性こそ、映画と言う表現手段の真骨頂なのだろう。セリフが少ないのでテレビ映えはしないが、きっと10年、20年後も、こうした中小規模の映画館で繰り返し上映されるのだろう。そういう、小粒だがいつまでも輝き続ける作品である。

#次の岩波ホール上映作品はアンジェイ・ワイダの遺作か、これも見逃せないな。